Tableauワークブック作成の全てを生成AIに任せてみた実験
公開日: 2026/10/12
最終更新: 2026/10/12この記事ではTableauのワークブックを生成AI、具体的にはClaude Codeにゼロから作らせてみた実験と、その体験を通して感じたことを書きます。
この話を試そうとした動機は2つあります。
1つは技術的な興味でした。9月にTableauのCodex向けプラグインが公開され、この中に整理されたワークブックのスキーマやリファレンスがありました。現在ではどこまで生成AIにワークブック作成を任せられるのかを試してみたくなりました。
もう1つは、先日のAI🤝BIの世界観を考えるという記事で書いたことの続きです。
BIプラットフォームの必要性は残るとして、その上に載せるために専用の形式にすることに工数がかかり続ける状況は、ちょっと適切ではないと考えています。
例えば、生成AIならHTML等ですぐに形にできるのに、それを組織的に共有するために人間が手動で時間をかけないといけない世界観は、ちょっとイケていないですよね。
生成AIが実現する速さや効率や品質を直接的に活かすために、生成AIでTableauワークブックを作ることを探ってみたいと思いました。

実験の題材には、自分が出題を担当したWorkout Wednesday 2026 Week 40を使いました。
出題ワークブックを作る過程の全てで生成AIを使いました。そしてTableau Desktopでほとんど編集しないまま、公開できる形まで持っていけました。
伝えたいことがとても多い記事になりましたので、2部構成としました。
前半では、「生成AIにワークブック作成の大半を任せられる」話と、その価値について書きました。
今すぐに試し、価値を感じてみたい方に向けた内容です。
後半では、この実験を振り返りながら、生成AIに大半を任せられるようになるまでの過程を書きました。
前半の内容に加え、自分がどのように生成AIと協業したかを伝えています。
生成AIとの協業イメージを掴みたい方に向けた内容を主としています。
この実験で使用した生成AI用のSkills等は、以下に公開しています。
このリポジトリを生成AIに読ませ、対話的に探索することも良いと思います。
それでは「生成AIにTableauワークブック作成を任せてみる」世界の探索に、これからお付き合いください。
結論:作成の大半を任せられました
結論としては「ワークブック作成の大半はAIに任せられる」です。しかも手で作るよりも速く、安く、後から人が手直ししやすい形に整ったワークブックが出来ました。
実験として作らせたのは、選んだ週の売上と利益が普段より良かったか、去年の同じ時期より良かったかに、Yes / No で答えるスマホ向けのダッシュボードです。
出題内容はHTMLで合意し、それをワークブックに書き起こす形を取りました。
図の左側がHTMLで作らせたダッシュボード、右がAI生成のTableauダッシュボードです。文字サイズなどは会話で微修正したのでHTMLの完全再現はさせていませんが、本質的には「サクッとAIに作らせたものが、サクッとワークブックで再現される」体験をしました。

ワークブックの中身も、人間が読んで作り直せるように整えられています。
実際の出題ワークブックを開いて見てもらうと分かりますが、この記事に書いたような運用性のための整理も実現できています。
計算フィールドは役割ごとにまとめてフォルダに分けられ、また不要な計算式も作成過程で削除されています。比較的クリーンなワークブックが作られています。
AIが担当したのは、見た目の試作から、ワークブックのXMLの生成、Tableau Cloudへのパブリッシュ、描画の確認、値の検算までです。
自分の担当は、なんのために・どのデータを・どう見せるかを要望として伝えること、出来上がったものを最後に確かめることだけでした。
そして作成過程で「何をしてほしい」とか「どう変えてほしい」という要望を伝えてから、一連の操作が行われ、描画を確かめるまでの1往復は、たった1〜2分で完了しました。
(もちろん最初のワークブック全体を作り始めるタスクにはもう少し時間を要しましたが、ワークブックが組みあがった後の修正ラリーは、本当に1往復が数分の世界でした。)

ところでTableauで何か1か所変える場合に(他の物事でも同じですが)、その場所だけ変えて済むことは少ないですよね。
例えば「このデータの表示はもう要らなくなった」と、要らなくなった表示を1つ消したい場合、以下のような付随作業が発生しますよね。
その表示に使っていた計算フィールドの削除
計算フィールドの参照依存の整理の確認(消して良いんだっけ?の確認)
シートの削除(必要なら)
表示データに関するテキストの削除
パブリッシュと描画の確認
etc...
このあたりもまとめてAIに任せられました。

金額的にも割と安い
生成AIが良く動けることは分かったとして、コストが気になりますよね。
結論として、同じ要件と見た目を合意済みのHTMLを渡し、そこからワークブックの再現に必要なコストは約5ドルにまで下がりました。 「下がりました」と書いたのは、そこに至るまでの試行錯誤をこの実験では踏んでいるからです。十分なAI用の資産が用意された前提では、今回のダッシュボードを作るのに必要なコストはどの程度か、として見てください。

補足:約5ドルで作り直した回の中身
・渡したのは、要件の文書と、見た目を合意済みのHTMLの2つだけ
・途中で人は関わらず、AIが一人で、ワークブックを書く → パブリッシュ → 描画を画像で確かめて直す、を自律的に5周した
・1周目はパブリッシュに失敗し、2周目以降は描画できる形で進んだ
・ツールヒントや凡例の見せ方など、細かい見た目の差は残ったので、仕上げの会話は別に必要です
手で作るなら、今回のようなワークブックは数時間、人によっては数日かかると思います。作る人の時給で換算すれば1万〜数万円の作業になるはずなので、専門性の知見を再現できる形で、AIと一緒に安く効果的に作成できるのは、十分いい話なのではと思いました。
前半のまとめ
ここまででお見せしたように、手で作るより速く、安く、質の良いワークブックが出来るように感じました。これが現在地だと思います。
そして生成AIは十分な知識や参考資料が与えられている場合には、成果物と過程に一定の再現性を持たせられる利点があります。
組織に共有するべきTableauダッシュボードを、Tableau Desktopに慣れていない人でも、生成AIと協業することで簡単に作ったり直したりできる、というところに価値があると考えています。
HTMLの試作で見た目を合意してからワークブックに載せるという冒頭のギャップも、生成AIの力を借りながら越えられそうだという手応えを得ました。
見せ方の大枠の合意はHTMLで取り、BIプラットフォームに載せる変換はAIに任せる。ダッシュボード運用の中で生じる修正もAIに任せる。 Tableauの世界で言えば、このような動き方がCreatorユーザーには求められていくのかなと予想しています。

Tableau操作に関する知識や専門性は出番が減り、むしろ「なぜ、どのデータを、どう見せるか」という問いに時間と労力を使うことが求められるのかなと。
この実験だけの体感ですが、これは良い変化だと感じました。手を動かす時間が減って、どういうダッシュボードを作るべきかに向き合う時間が増えた体験は、とてもポジティブなものでした。目的と達成したいゴールを考える時間が好きなので。
自分が公開しているWOW問題作成リポジトリでも、Tableau公式のプラグインでも何でもいいので、ぜひAIによるワークブック作成を試してみてください。AI🤝BIを加速させましょう。これは早く体験した方が良いと思っています。楽しいので!
ここから後半:AIに任せられるようになるまで
前半に書いたのは、スキルやリファレンスが揃った後の話でした。そこに至るまでには試行錯誤があり、最初にAIが作ったワークブックは、Tableauで開けても、手本とは程遠いものでした。
後半では、その道のりを次の4つに分けて書きます。
Tableauのプラグインから何を借り、それでどこまで届いたか
AIが自分で描画まで確かめられるようにしたこと
足りないところに、ベストプラクティスや実践知を足したこと
スキルやリファレンスが揃ってからの作り方と、自分の役割の変化
最初はHTMLのプロトタイプから始まり、ワークブック生成と見た目変更のHTMLを往復しながら、最終的なダッシュボード作成に辿り着きました。

Tableau Pluginの説明と、そこから借りたもの
注意:Tableau Pluginの情報について
プラグインに関する記述は、執筆時点(2026年10月11日)の情報をもとにしています。
最新の情報はGitHubのリポジトリを確認してください。Claude Code等におけるプラグインは、スキルやMCPサーバー、フックなどを1つのフォルダにまとめ、まとめて入れられるようにした仕組みです。 基本的にはマーケットプレイスと呼ばれる一覧から入れる仕組みになっています。

Tableauについては、Salesforceがtableau-pluginをGitHubで公開しています。Codex向けのプラグインで、TableauのMCPサーバーにつながります。Tableauのコンテンツを探す、ビューを描画する、ワークブックを作って直す、といったスキルを持っています。

ワークブックを作るスキル(tableau-workbook-authoring)は、チャートのテンプレートかXMLの手編集でワークブックを作るところから、検証、MCP経由のパブリッシュと描画までを持っています。
今回の実験では、このスキルの中からワークブックのXMLを書くための材料を借りました。Claude Codeにプラグインとして入れたのではなく、これらのファイルを自分のリポジトリにコピーして、自作のスキルから使っています。
具体的には以下の材料を使用しました。
Tableauのバージョンごとのワークブックのスキーマ(XSD。今回は2025.1〜2026.2を同梱)
ワークブックの要素ごとの構文例(XMLを抽象化したJSON)
XSDでワークブックを検証するスクリプト
補足:Tableau Pluginをそのまま使わなかった理由
そのまま使えたら良かったのですが...
Tableau Pluginは、Tableauが提供するMCPサーバーを通してワークブックをパブリッシュし、描画まで確かめる作りです。ただし、MCP経由のパブリッシュは、サイト側の設定などの前提条件によって使えない場合があり、自分の環境ではTableau MCPだけでは完結しませんでした。
MCPサーバーを自分で立てる場合も、パブリッシュには機能の有効化に加えてAmazon S3の用意が必要になるようです。詳細は以下の記事をご覧ください。
https://zenn.dev/cavernaria/articles/ed1060c67f26fd
この前提条件を手元で用意することが難しく、またパブリッシュ自体はREST APIで可能なため、今回はTableau MCPではなくREST APIをAIに実行してもらう形を採用しました。そのためPluginはそのまま使わず、参考資料だけを借りる形にしました。
とりあえず開けるワークブックは出来たが...
最初は、以前から使っていた自作のスキル(テンプレートのワークブックに差分を書き込むもの)と、過去の出題のワークブックを手本にして始めました。
そこにプラグインのスキーマ(XSD)で構造を確かめる仕組みを入れると、Tableau Desktopで開けるワークブックまでは、すぐに届きました。

ただし、左の手本のHTMLと見比べると分かるように、見た目は全然違います。 それだけでなく、正しく描画されていないところもありました。
下段のチャートが空白になる。原因は計算式の中の last year's のアポストロフィで、文字列がそこで途切れていた
金額が1000倍で表示され、今週の棒の色も逆になる
どちらも、XSDの検証は通ったうえで起きています。
XSDは構造しか見ないので、式のエラーや、Desktopが黙って補ってくれる宣言の欠けは、開いて描画するまで分かりません。
構造が正しくても、Tableauで開けて正しく描画されるとは限らない、ということです。

今回借りたプラグインの材料(スキーマ、構文例、検証スクリプト)で確かめられるのは、XMLとして構造が正しいかどうかまででした。
プラグイン自体は、MCP経由でパブリッシュして描画を表示するところまで持っていますが、前述の理由で今回はその経路を使っていません。その先は自分で足すしかない、というのが最初の実感でした。
もう1つ、描画とは別の問題もありました。
表示の要素を1つずつ計算フィールドで作っていく、力技の作りになっていたことです。売上と利益で同じ計算を別々に持ち、背景の帯の始点や幅まで計算フィールドにし、4つの問いごとにYes / Noの文字や注記を別々に作っていたので、計算フィールドは87個に膨らんでいました。

これでは人がこの先ワークブックを手直ししていくのも、作りが正しいかを確かめるのも大変です。
ということで、ここからAIに自己検証の道具を与え、またAIが知っていることを広げていきました。
AIが自分で描画を確かめられるようにした
描画の不具合は、最初はAIとの会話で1つずつ直していきました。 自分がDesktopで開いて、おかしなところを伝える。そしてAIが原因を探して、XMLを直す。書き方が分からない要素は、自分がDesktopで同じ操作をして保存し、そのXMLを写してもらう。その繰り返しでした。
プラグインをそのまま使えていれば、MCP経由でパブリッシュして描画を見るところまで、AIに任せられたはずです。今回はその経路を使えなかったので、同じことをTableau CloudのREST APIで自分で組みました。
直したワークブックの検証から、Tableau Cloudへのパブリッシュ、描画した画像の取得までを、AIが通しで回せるようにしました。要は、AIが自分で作ったものを自分で確かめられるようにしました。

ベストプラクティスや実践知を与えた
ただし描画まで確かめられるようになっても、それだけでは「動くワークブックが作れる」以上には届きません。
Tableauワークブックや可視化作りのベストプラクティスや知識は、AIに追加で渡す必要がありました。これらは作らせて失敗してを繰り返しながら埋めていきました(より効率的な手順は踏めそうですが、まぁ実験的な取り組みとしてトライアンドエラー上等の姿勢だったということで...)。

例として、先ほどの「87個の計算フィールドが力技で作られてしまった」話を見てみましょう。これらの知識と作法が与えられた後では、以下のように整理されました。

売上と利益で同じ計算を1組にまとめ、背景の帯や平均線は計算フィールドを使わずに描き、要らなくなったものは消しています。残った24個は、役割ごとに5つのフォルダに分けました。
AIに作成を任せられるようになった後の自分の役割
仕上げの段階になると、AIとのやり取りはずいぶん軽くなっていました。1往復が1〜2分で終わるので、感覚的な指示で投げてみて、描画を見てから次を考えられるようになりました。
実際のやり取りを要約すると、こんな感じです。

見た目の合意には、途中からHTMLを使うようにしました。
合意したHTMLのデザインと、Tableauで描画したダッシュボードを左右に並べたページをAIに用意してもらい、同じ画面を見ながら話していました。
Tableau Cloudにパブリッシュできているので、作ったものを画像として取得しています。

大枠が決まった後の細かい直しは、twbを編集してもらうほうが速かったですが、見せ方そのものを変えるとき(グラフ表現を変える、など)だけ、HTMLで案を作ってから一緒に決めました。
ただし実際の案を出すのはAIで、自分は要望と判断だけ担っていました。
ここまでAI側が自律的に動けるようになると、自分の頭の中を占める問いが変わってきました。
AIに作成を任せられない状態では、ワークブックをどう編集するか、どこを直せば開けるかなど、作業的な内容にある程度の思考を使っていました。
それが最終的には、出来上がったものを見て、この見せ方でいいのか、このデータでいいのか、このダッシュボードがどんな価値を与えるのかを考える時間に変わっていました。

Tableauの操作がハードルにならず、欲求に素直に従って作れるようになる。 AIにワークブック作成の大半を任せられるようになると、ここに大きな価値があると思います。
この実験を通して、自分はその一端を体験しました。
細かいTableauやBI技能を必須としなくても、組織的なBI活用が出来るようになるのか。冒頭で提示したギャップを超えられるのではないか。そういうワクワクを感じました。

最後に
ということで、Tableauワークブック作成を生成AIに任せてみた実験の共有でした。プラグインから借りた材料に、失敗や判断から書き足したスキルやリファレンスが揃った後は、作る操作の大半を任せられるところまで来ました。
そして今回は1つのダッシュボードを例にした実験でした。この話の本質的な価値は、これを複数のダッシュボードやワークブックでも実験し、AIに還元できる知識や作法を増やし溜めていくことだと思います。
作るたびに、失敗や判断をAIの側へ書き戻す。次はその足場の上から始められるので、回を重ねるほど、任せられる範囲は広がっていくはずです。

質問などありましたら、XかLinkedInまでお願いします。それでは!

