自分のAI Agentとの向き合い方 (2026年6月版)
- 3 日前
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公開日: 2026/06/13
最終更新: 2026/06/13この記事では、以下について書きます。
自分がどのようにAI Agent時代を楽しんでいるのか
この楽しみは人に勧められるのか(合理的には勧められないんじゃないか)
この1年ほどAI Agentのトピックを楽しんできました。Agents SDK、OpenAI Agent Builder(残念ながら2026年11月で終了のようですね)、Codex, Claude Codeなど、様々なAI Agentに触ってきました。
他の記事や登壇、Xなどで言及しているように、この話題はずっと楽しいんです。自分のやりたいことを実現してくれる、能力を拡張してくれる、再現性もある。自分がTableauの楽しさを伝えてきたように、AI Agentの楽しさも伝えていきたいと思っています。
一方で、AI Agentの話題に触れて自身を「Agentic」にするような体験や実践を進めることの、合理的な理由は全く思い付いていません。
これはTableauやデータ利活用でも同様なトピックはあり、労働者目線における効率化の合理性は何か?については、自分は避けていました。楽しいし役に立つから、共感してくれる方に届けば良い、と。
AI Agentに関しても本質的には同じなのですが、こちらは効率化と発展性が破壊的すぎるので、ちょっと他者への伝え方や巻き込み方の言語化を一回しておこうと思った次第です。波及する範囲も広いですし。
端的かつTableauユーザー向けに限って言えば、今までは「Tableauでこんな面白いことが出来たら、もっと楽しいですよね!」でゴリ押し出来たものの、AI文脈だと「今までやってきたことをAI Agentに任せて、自分たちの今の仕事を無くしたいですよね!」というような話が避けて通れないかなと。
(まぁ自分のTableauブログや発信も、自分と他者の専門性を希釈してきた部分はあると思いますが、AI Agent関連ではもっと激しい話になってしまうので...)
ということで、着地がどのようになるか冒頭執筆時点では全く分かりませんが、自分の楽しみと興奮、そして人への勧め方が分からんという気持ちを書いてみようと思います。
AI Agentはとても楽しい
この1年間ずっと楽しかったですね。
アイデアを検証し実践することのスピードが格段に上がりました。溜めていた「いつか試したい」というアイデアが、この1年間でいくつも形になりました。 GitHubに公開し始めた内容もありますが、Xの投稿を元にざっくり軌跡を見てみます。
1年ちょっと前までは、まぁChat AIを補助的に使っているとはいえ、仕事の軸はTableauとデータでした。それが今ではDeveloper系の作業もCodex/Claude Codeと一緒に行うようになりました。自分のできることに技術系の話が増えました。
仕事で一番使う画面はVS Code、最近よく読む資料はAPIドキュメントになりました。
こうなるとは全く予想していませんでした(嬉しい困惑)。
(なお実装/実現はAIに任せているので、技術系のコンセプトを深く正しく全て理解しているかと言われると怪しいので、本職エンジニアの方の助けを大いに借りています。いつもありがとうございます←)また、AI Agentと協業する上で、頭の中にしかなかった文脈を言語化して渡す場面が増えます。何が正解で、何をしてはいけなくて、どうなったら完了なのか、など。
実はこの書き出す作業自体が楽しくなってます。これまでは言語化に必要な工数や労力から諦めていたのに対して、今はアイデアを伝えれば、少ない対話とAgentによる補完を通した言語化が容易に出来ています。
(このBlog執筆を助けているAgentが1つの実例ですね)
また書き出して渡した分だけAgentが自走できるようになるので、言語化はしっかり割に合ってます。あくまでも自分の作業の効率化や拡張という文脈となりますが、時間的な費用対効果がとんでもなく高いのが楽しいですね。
ここでTC26で感銘を受けたセッションから、好きなスライドの一部を引用します。 (40分ずっと楽しいので、ぜひ全編見ていただきたい気持ち)


まさにこの2枚が起きていると思っています。労力と費用対効果に対する価値観と現実が、AI Agentによって大きく変わってしまった。
変わった分だけ、今までやりたかったことも消化できますし、また今まで考えもしなかったアイデアの探求と実践に取り組むことも可能になったように感じています。

AIによって既存スキルが拡張されていること、周辺スキルにアクセス可能になったことも重要でした。例えば自分のコアスキルがTableauやBIにあり、また本当はTableauの各種APIを活用したアイデアにもエンジニア的に取り組みたかったが、知見の薄さや習得労力のために諦めていた部分はありました。
AIによってその壁がある程度無くなったり、またその先の周辺領域の知見も溜めやすくなった体験があります。
ということで、AI Agentがずっと楽しいということの、個人的な体験を書いてみました。ちなみにAI Agent関連の向き合い方については、こちらのKonifarさんの発表資料が好きです(Blogも好きです)。
TableauがAgentic方面に進化するのも楽しい
この1年間のTableauの進化も楽しいですね。機能的な進化もそうですが、自分はTC26で発表された方針が好きでした。
詳細はこちらのTC26振り返りBlogを見ていただくとして、ここでは2点を取り上げたいと思います。
Agentic Analytics Platformになっていくという方針(Product → Platformへの軸足転換と受け取った)
TableauユーザーはArchitectになっていくんだというメッセージ


何が正しい指標で、どのデータをどう繋ぐと意味があって、どんな問いに答えたいのか。その文脈と判断基準を(AIの助けも受けながら)人間側が設計し用意したうえで、分析の実行をAIに任せるような世界観。それを支えるTableauというAgentic Analytics Platform。
この世界観自体をとても興味深く見ています。
加えて、こちらの図も好きですね。

アドホックか定点観察的か、探索的かシグナル探知的かという2軸で切り分けた際に、どのアプローチを取るべきかというフレームワークです。
今までのTableauの世界観では、上記はTableauワークブックの中での表現と実装方法の話だったように思います。例えば以下など。
現在ではAI Agentも含めてデータ利用体験を設計することがTableauからも推奨され、また判断軸/判断の材料も提示されている。可視化周辺だけではない、総合格闘技のような戦い方が求められているようで、自分は面白く受け止めています。 (まぁこれは純粋なAI Agent推奨だけでなく、Tableau NextやTableau Agentの文脈もあると思いますが)
ということで、AI Agentトピック自体を楽しんでいることに加え、Tableauという製品/プラットフォーム自体の方向性も、AI Agent文脈で楽しんでいるというお話でした。
楽しいが、他人に勧められるかは分からない
ということで、AI Agent時代で感じる楽しみと興奮について書きました。
一方で、ここまでの向き合い方で書いてきたように、Agenticを見据えた動き方は「現時点での専門性の希釈」を大いに含んでいると思います。自己の能力や業務に関する言語化にリソースを割き、第三者(AI)に自分の能力と知見を大いに与えることが必要なので。
端的に言えば、現在の自分(と、もしかしたら他者)のキャリア上の墓穴をせっせと掘っているのと同義なんじゃないか、と思っています。というより実際にそうですよね。
「労働者目線で合理的に考えたら、AI Agentを頑張る理由って無いんじゃないか?」という意見には、理解と共感を覚えます。正直まちがっていないと思いますし、このモチベーション設計で成功している組織や人がいれば、切に知りたいです。
記事冒頭で「どう着地するか分からない」と書きました。 やっぱり勧め方が思いつかないので、上記の合理性を無視して、なぜ自分がAI Agentを学び取り組むのかについて書くことにしましょう。
人には勧めないが、楽しそうだと共感してくれる方が現れれば良いだろう、という立場を取ることにします。
ということで、自分がAI Agentに取り組む、楽しさ以外での理由に関して参考にしている記事をひとつ紹介します。
補足1:記事中のdbt (data build tool) とは、データ分析の現場で「集めたデータを使える形に整える」工程に広く使われているツールです。
補足2:The Analytics Engineering Roundup というニュースレターはデータ活用まわりの良質な記事が定期的に届くので、無料登録し購読がオススメです。この記事の中心にあるのは、タイトルにもなっている "Moving Up the Stack"(上の層へ移る)という、dbtが創業当初から掲げてきた価値観です。
"all team members should seek to replace themselves on an ongoing basis"、つまり全員が、自分の今の仕事を要らなくするプロセスやドキュメントを継続的に作り続けるべきだ、とあります。なぜなら "there is always more, and more valuable, work to do"(もっと価値のある仕事は、いつだってその先にある)から、と。
さきほど自分が「キャリアの墓穴を掘っている」と呼んだ行為と、やっていること自体は全く同じです。違うのは姿勢だけです。
自分を置き換える行為を、脅威ではなく信条として最初から掲げています。
そして、その姿勢の目的をこう書いています:"It's to empower them, to allow them to solve creative problems in new ways."
人を縛るためではなく、力を与えて、新しいやり方で創造的な問題を解けるようにするためだ、と。
Tableau関連の探求と発信も、AI Agent関連の探求と発信も、両方とも自分は"Moving Up the Stack"的な価値観で行ってきました。そこには楽しさがあり、またエンパワーメントがあると信じています。
自分はこの辺りを指針に楽しんでいますが、人それぞれの良い理由が見つかると良いですよね。
最後に
身も蓋もない話をすると、どうせこの先、誰かが既存の専門性を壊していくと思います。Tableauやデータ活用の領域でそれが起きるなら、その領域に愛がある人間が率先してやった方がいい。自分はそう考えています。
その過程で自他のキャリアにネガティブな影響を与えてしまうこともあるかもしれません。Moving Up the Stackの先に何があるのかは分かりません。
これはもう割り切り、まぁ結果的には良いことが起こることに賭け、愛とエゴを持って取り組んでいくしかないのかなということで。
この体験談が役に立つようであれば嬉しいです。それでは!

