データ可視化に悩むあなたへ 6日目(認知的負荷について)

今回は「認知的負荷」について書いていきます。

基本的にはStorytelling with Dataの3章に従います。


このシリーズの想定ユーザーは以下の方々です。

  • データ可視化ツールには慣れてきたが、何をどう可視化したらいいか分からない

  • いまひとつ自分の可視化がイケてない気がする

  • 可視化のプロセスが分からない

参考書は以下に挙げます。主にノンデザイナーズ・デザインブックを参考にしていますが、データ可視化の観点からMakeoverMonday本も参考にしています。

あとは、自分のデータ可視化の原点であるStorytelling With Dataも参考書として挙げておきます。

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]

MakeoverMonday: Improving How We Visualize and Analyze Data, One Chart at a Time (English Edition)

Storytelling with Data: A Data Visualization Guide for Business Professionals (English Edition)

日本語版ありました)


このシリーズで使用したTableau Workbookは以下からダウンロードできます。

https://tabsoft.co/2Pt8Wgw


(Disclaimer)

ここで書き表すことは絶対ではありません。データ可視化を集中的にやり続けている人間の、一意見として捉えて下さい。

【認知的負荷とは】

英語Wikipediaからの引用になりますが、「認知的負荷(Cognitive Load)」は以下で定義されています。


Cognitive load refers to the used amount of working memory resources.

(認知的負荷とは、使用されたワーキングメモリの量である)


ワーキングメモリは「情報を一時的に保ちながら操作するための構造や過程を指す構成概念」らしいです。短期記憶も考えとしては近い様子です。


ざっくり言えば「相手に一度に(短時間で)処理させる情報量」が認知的負荷、ということになるのでしょうか。

言葉だけでは何ともなので、例をお出しします。




同じ「Sub-Categoryごとの2018年Sales」について可視化をつくりました。

上図は情報過多です。目に入ってくる情報量が多く

  • どこを見たらいいのか分からない

  • そもそも何を表しているのか分かりにくい

  • データが読みにくい

  • 見ていて辛くなってくる

上記のような問題を引き起こしています。

認知的負荷が高いと、個人的には健康被害も出るんじゃないかと思ってます(めまいや吐き気や眼精疲労など)。


下図ではいくつかの工夫をして、認知的負荷を減らしました。

情報量を極力減らしつつ(つまり認知的負荷を減らしつつ)「見たいSub-Categoryのデータはスムーズに入ってくる」形になっています。


情報が伝わりやすい可視化を作るため、人にやさしい可視化を作るため、認知的負荷という概念は抑えておくことをオススメします。

伝えたい情報を伝えにくくしている要素は取り除きましょう。


ちなみにTableauは強力なインタラクティブ性を保証してくれるので、減った情報量をインタラクティブ性でカバーする手段が取れます。下記GIFをご覧ください。


【余談:Tableauの優位性】

この記事を書いているころ、Tableauと他のBIツールの差別化って何だろうなと考えていました。LookerがGoogleに買収されたり、DOMOやPower BIやAWS QuickSightが熱くなったりしていたので。


Tableauの優位性は、詰まるところカスタマイズ性とインタラクティブ性が大きいのかなと。

逆に言えば、単にデータを「可視化する」だけの用途の場合、価格優位性や展開性で他ツールが優位になるかもしれません。

Tableauはデータと「対話できる」インタラクティブ性を保証しますが、この機能を自在に使えるユーザーさんの数が必要かもしれません。

【Clutterという概念】

Storytelling with Dataでは「Clutter」という概念が紹介されています。

これは本から引用すると

  • 過剰または無関係な認知的負荷を作り出すもの

  • 何の理解も促さないビジュアル要素

です。


このClutterのせいで、可視化は必要以上に複雑になったり、伝えたいメッセージが不明確になります。

その結果「伝わらない」「見てもらえない」可視化ができてしまいます。

その時点でデータを使ったコミュニケーションが成立しなくなり、その可視化は価値を大きく落としてしまいます。


ということで、Clutterを減らす必要があります。


本では「視覚認知のゲシュタルトの法則」を用いたClutter識別方法を取りあげていますが、ここでは割愛します。

意図的なClutterへの意識が無い状態で体系的な知識をお伝えするより、まずはClutterに意識を向けて頂いて、思い出したころに「Clutterを識別する、削除する体系的な方法」を学習していただく方が、より親近感を持って「視覚認知のゲシュタルトの法則」を理解していただけるのかなという意図です。


代わりに、ここではいくつかのチェックポイントをお伝えします。

  • 凡例や色が必要以上に多くないか

  • 枠線や軸線は本当に必要か

  • 要素の並びと位置は美しいか/整っているか/意図的か

  • 空白が適切に存在しているか

要素が必要かどうかは、一回消してみれば分かることが多いです。

削除しても情報が十分に伝わりそうであれば、それはClutterです。


もしくは、Tableauのインタラクティブ性をうまく利用して、認知的負荷を下げつつも情報を伝えられる設計をすることもオススメします。

【最後に】

今回は「認知的負荷」について説明しました。これは

  • 「相手に一度に(短時間で)処理させる情報量」

でした。

この認知的負荷が大きいほど、情報は伝わりにくく、また相手に見られなくなります。

つまりデータを用いたコミュニケーションが失敗します。


認知的負荷を小さくするために、Clutterという概念を説明しました。これは

  • 過剰または無関係な認知的負荷を作り出すもの

  • 何の理解も促さないビジュアル要素

でした。

このClutterを削ることにより、認知的負荷が小さく、相手に伝わりやすい可視化が作成できます。


次回からStorytelling with Dataの4章の内容「相手の注意をひきつける」について書いていきます。

ご質問等はTwitterまたはLinkedinまでよろしくお願いします。それでは。

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上記3点をモチベーションに書いています。

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 Author

Yoshitaka Arakawa

 

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